赤の話
赤い色が好きで、赤い服を何着か持っている。
今日も着ているけれど、やっぱり好きな色を身につけると元気になる。
母や友だちにも似合っていると言ってもらえて、服で唯一自信を持てるのは赤だったりする。
そんな赤だが、非常に派手で強い色でもある。
私が好きなのは彩度が若干低いものなので、それほど目立ちはしないが、それでも電車の中では文字どおり紅一点になるし、それなりに目をひく。
また、赤を血の色と見る人もいる。私はアレルギーで傷だらけなので、血の色におぞましさは感じないが、そう思う人もいる。
強い言葉は赤と似ている。
パワーを秘めていて、影響力があって、目立つ。
けれど当然、それに悪いイメージを持っている人もいるのだ。
私は最近強い言葉が苦手で、パワフルな発言や、格言といった類のものを素直に受け止められなくなってしまった。
まだ思春期が続いているのかと思うほど、分かってるよ、でも出来ないんだ!!!と叫び出したくなるからだ。
恐らく受験の不安と、家族の問題が原因だが、こればかりはすぐには治せないからと諦めて、苦手からは距離を置いている。
しかしいくら距離をとっても、周囲の発言からは逃げられない。言葉が、目や耳を通してどうしても入ってくるのだ。
赤い服と似ている。
言葉が遠くまで届くようになった今、自分がどれだけ逃げても何かしらが追いつくことはある。
目についた広告の宣伝文句。新聞やニュースの見出し。デパートのアナウンス。ラジオ番組のトーク。
雑踏の中の赤い服のように、どうしても視界や耳に入る。
どれだけ自衛しても、どこかしらからやってくる。
だから、強い心を持つのが一番良いのだけど、そこに辿り着くのはまだまだ先なので。
これからも逃げて、たまに戦う。それしかないのだろう。